1 理念
「慈恵の精神に則り子どもの健全育成を目指す」
・子どもの最善の利益のために
・全ての子どもを社会全体で育む
この社会的養護の基本理念のもと、昭和22年6月に、飯田市大瀬木に開設された創設当初の基本理念は、いつの時代でも変わるものではありません。
2 基本方針
児童福祉法第3条の2に基づいた代替養育の養育環境の在り方では、「できる限り良好な家庭的環境」でなければならないとされています。その重要な視点は個々の子どものニーズに合った養育を行う個別化の具体化です。家庭と同様の養育環境で困難な子どもも対象となるため、より高度なケアを提供できる施設を目指します。
(1)家庭的養護と個別化
適切な養育環境で、安心して自分をゆだねられる職員(養育者)によって一人一人の個別的な状況を十分に考慮して養育します。
(2)発達の保証と自立支援
将来の人生を作り出す基礎となるよう、子ども期の健全な心身の発達の保証を目指します。子どもの自立や自己実現を目指して、子どもの主体的な活動を大切にするとともに、様々な生活体験などを通して、自立した社会生活に必要な基礎的な力を形成していきます。
(3)回復を目指した支援
子どもに応じた成長や発達を支える支援だけではなく、虐待経験や分離体験などによる悪影響からの癒し回復をめざした専門的ケアや心的ケアなどの治療的な支援も必要となります。被虐待児等や不適切な養育環境で過ごしてきた子どもたちは、被虐待経験だけでなく、家族や親族、友達、近所の住人、保育士や教師など地域で慣れ親しんだ人々との分離なども経験しており、心の傷や深刻な生きずらさを抱えてます。情緒や行動、自己認知・対人認知などでも深刻なダメージを受けていることも少なくない子どもたちが、安心感を持てる場所で、大切にされる体験を積み重ね、信頼関係や自己肯定感(自尊心)を取り戻していけるようにしていきます。
(4)継続的支援と連携アプローチ
入所時からアフターケアまでの継続した支援と、一貫性のある養育を目指します。子どもが歩んできた過去と現在、そして将来をよりよくつなぐために、一人一人の子どもに用意される過程は「つながりのある道すじ」として子ども自身が理解できるようにします。
(5)ライフサイクルを見通した支援
施設で育った子どもたちが社会に出てからの暮らしを見通した支援を行うとともに、入所や委託を終えた後も長くかかわりを持ち続け、帰属意識を持つことができる存在になっていきます。育てられる側であった子どもが親となり、今度は子どもを育てる側になっていくという世代を繋いで繰り返されていく子育てのサイクルを支援していきます。